アフィリエイトを始めて報酬が入ると、嬉しい反面、確定申告についても気になり始めます。納税義務を怠ると、「無申告加算税」や「重加算税」など、通常の税金に加えて罰則金も徴収されるので、アフィリエイト収入を少額でも得ている方は注意しましょう。
本記事では、アフィリエイト所得の確定申告が発生する条件や税金の計算方法から申告方法を初心者向けに解説します。
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アフィリエイト収入と税金の関係

アフィリエイトで得た報酬は課税対象のため、原則として確定申告が必要となります。
課税される所得の額は、収入から支出(経費)を差し引いた後、保険料や寄附金、医療費などの所得控除を行って算出します。アフィリエイトによって収入を得ている方(アフィリエイター)が支払わなければならない税金は、主に「所得税」「復興特別所得税」「住民税」の3種類です。 ただし、すべてのアフィリエイターが確定申告をして税金を納めるわけではなく、一定額以上の所得を得ている人が確定申告の対象となります。
なお、確定申告の対象となるアフィリエイターの条件については後述しますが、条件に該当するアフィリエイターが確定申告を無視した場合、無申告加算税や延滞税・重加算税といったペナルティが発生するため、絶対に忘れないようにしましょう。
アフィリエイターの確定申告はいつから発生?

アフィリエイトでどのくらいの所得を得ると、アフィリエイターに確定申告の義務が生じるのでしょうか?
以下、アフィリエイターが確定申告をしなければならない所得金額について解説します。
給与所得+他所得を得ている方は20万円超え
日中は会社員として働いている人が、アフィリエイトを副業として行っている場合、給与を除く所得が年間20万円を超えると確定申告の対象となります。 また、アフィリエイト以外の副業も行っている場合は、すべての副業所得の合計が20万円を超えたら確定申告をしなければなりません。
具体例としては、次のようなケースが考えられます。
- 会社員としてもらっている給料(給与所得):年間400万円
- アフィリエイトで得ている所得:年間5万円
- クラウドソーシングで得た所得:年間17万円
例Aでは、副業で得た所得が合計で年間22万円となり、20万円を超えるため確定申告の対象となります。
他のケースとしては、次のような状況も想定されます。
- 会社員としてもらっている給料(給与所得):年間400万円
- アフィリエイトで得ている所得:年間5万円
- アルバイト等で得た給与:年間18万円
例Bでは、アルバイト等で得た給与は副業分として計算します。 その理由は「年末調整は1か所の職場でしか受けられない」からです。
本来、給与所得者は月々の給与から納付すべき所得税が源泉徴収されているため、原則として年末調整によって税額の過不足を調整して清算します。 しかし、2か所以上の職場から給与をもらっている人の場合、基本的に収入の多い職場で年末調整を受けることになります。
つまり、例Bにおけるアルバイト等で得た給与の18万円は、年末調整の対象外です。 よって、アフィリエイトで得た所得と合わせて23万円が副業分として計算され、こちらの例も確定申告が必要な金額となります。
他所得のみの方は48万円超え(給与所得無し)
主婦(主夫)をされている方、大学生・専門学校生の方など、特定の企業や組織で給与をもらっていない(給与所得がない)方は、アフィリエイトでの所得金額が48万円を超えたら確定申告をしなければなりません。 また、給与所得ゼロでアフィリエイト以外の収入源がある方の場合は、アフィリエイトを含むすべての収入源で得た所得の合計額が48万円を超えた段階で確定申告が必要です。
なお、個人事業主としてアフィリエイトとは別に事業を営んでおり、その所得(事業所得)のほかにアフィリエイトの所得もある場合は、金額を問わずアフィリエイトの所得も事業所得と合わせて申告します。
アフィリエイト収入の税区分
アフィリエイト収入で得た所得の税区分は、大きく次の2種類に分けられます。
- 事業所得
- 雑所得
以下、それぞれの所得について解説します。
事業所得
事業所得とは、卸売業・小売業・サービス業など何らかの「事業」を営むことで得られた所得のことです。 ただし、不動産の貸付け・山林の譲渡による所得は、それぞれ不動産所得・山林所得となるため、事業所得には含まれません。
個人がアフィリエイトで得た所得につき、事業所得での確定申告が必要なケースとしては、次のような状況が考えられます。
- アフィリエイトで専業的に生計を立てている
- 長期にわたり安定的にアフィリエイトで収入を得ている
- アフィリエイト収入が他の所得を大幅に上回っている など
仮に副業であっても年間のアフィリエイト収入が300万円を超えている場合や、給与など主な収入に対する割合が1割以上の金額になっている場合などは、事業所得での確定申告を検討してもよいでしょう。
雑所得
雑所得とは、所得税法における所得の10区分のうち、雑所得以外の区分に該当しない所得のことです。 アフィリエイトで得た所得が副業かつ少額だった場合は、雑所得に該当します。
雑所得の金額は、次の3区分の所得を合計して算出します。
- 公的年金等
- 業務に係るもの
- ①・②以外のもの
上記3区分のうち、アフィリエイトで得た所得は「業務に係るもの」に分類されます。
なお、令和4年(2022年)度以降の所得税においては、2022年分の確定申告から2年前の業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超える場合、現金預金取引等関係書類(領収書や請求書など)を5年間保存する義務が生じます。
また、2年前の業務に係る雑所得の収入金額が1,000万円を超える場合、書類の保存に加えて、所得税の確定申告で「収支内訳書」の添付が必要です。
アフィリエイト収入の税金を計算する方法

アフィリエイトで得た収入にかかる所得税を計算する際は、まず以下の計算式で所得金額を算出します。
【収入-必要経費(収入から差し引かれる金額)=所得金額】
次に、求めた所得金額から、基礎控除・扶養控除・社会保険料控除・生命保険料控除などの「所得から差し引かれる金額」を引いて、課税所得を算出します。
【所得金額-各種所得控除(所得から差し引かれる金額)=課税所得】
課税所得が計算できたら、その課税所得金額に応じた税率をかけ、所定の控除額を差し引いて所得税額を算出します。
【課税所得金額×税率-税額控除額=所得税額】
なお、税率や税額控除額を確認する際は、以下の「所得税の速算表」を使用すると便利です。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
支払うべき所得税額が算出できたら、次は復興特別所得税の計算をします。復興特別所得税とは、東日本大震災からの復興のため必要な財源を確保する目的で創設された「所得税額に対する付加税」で、支払期間は平成25年(2013年)~令和19年(2037年)となっています。
復興特別所得税は、支払うべき所得税に対して、税率「2.1%」をかけて算出します。
【支払うべき所得税×2.1%=復興特別所得税】
なお、個人の住民税については、年末調整・確定申告の結果に応じて各自治体が納税額を計算するため、確定申告の際に自力で税額を算出する必要はありません。
アフィリエイトの必要経費
アフィリエイトの収入から控除できる必要経費としては、例えば次のようなものがあげられます。
費目 | 具体例 |
---|---|
通信費 | 電話代、プロバイダ料金、インターネット接続料、レンタルサーバー料金など |
新聞図書費 | アフィリエイトに関する専門書籍など |
水道光熱費 | PC・スマートフォンを使用するための電気代など |
旅費交通費 | アフィリエイトのための写真撮影にかかった費用、セミナー参加時の電車代など |
接待交際費 | セミナー参加時の飲食代、アフィリエイターの懇親会でかかった費用など |
消耗品費 | プリンタのインク代、コピー用紙代、10万円未満の情報端末など |
雑費 | ASPから支払われた報酬の振込手数料、アフィリエイト関連セミナーの参加費など |
確定申告の実施について

確定申告が必要な額の収入を得たアフィリエイターは、必要書類の準備を進め、所定の期間内に管轄の税務署で確定申告を済ませなければなりません。
ただし、e-Taxによるインターネット上での手続きや、郵送による必要書類提出も認められています。
アフィリエイターの働き方によって、雑所得での確定申告・白色申告・青色申告の2種類のうち、いずれかの申告方法を選ぶことになります。
青色申告は、個人事業主などアフィリエイトを「事業所得」として申告する方が対象です。
それぞれのケースにおいて、必要な書類は以下の通りです。
雑所得での確定申告 |
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白色申告 |
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青色申告 |
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上記すべてのケースで |
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上記すべてのケースで用意するもの |
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書面で確定申告書を作成する場合も、インターネット上で確定申告を済ませる場合も、e-Taxで作成・送信することができます。
確定申告の結果、所得税の納付が必要になった場合は、指定された期日までに納付しましょう。
確定申告の時期
確定申告を行う時期は、例年2月16日から3月15日までとなっており、この時期までに前年の1月1日から12月31日までの所得・税金を計算します。
ただし、申告をしようとする年の3月15日が土日祝だった場合、翌月曜日に繰り下がります。
サムライクリックで発生したアフェリエイト報酬も同様に、ご自分のステータスや収入金額によって、確定申告が必要になるので、お困りの際は税理士へご相談下さい。
※上記内容は2024年8月時点のものとなります。